NPO法人設立趣旨書 活動に至る経緯

日本の経済成長と共に成長を遂げる観光産業。小豆島においても70~80年代にかけて大規模なホテルや観光施設などの建設ラッシュにより観光は島の一大産業へと発展しました。しかしながら、かつては団体を中心とする観光スタイルが主体でしたが、豊かさを築く中で価値観やライフスタイルが多様化すると、今度は個人を主体とする観光スタイルへと流れを変えて行きました。人々の関心は、モノからコト、そしてココロへと移ろぎ、観光においても、本当の豊かさとは何か。といった精神の充足や、理想の暮らし、あるいは自己実現を追求する旅などへと姿を変えていきました。

そうした中、観光の現場においても、それまでとは異なる個人の複線化したニーズに対応したオーダーメイド感覚のサービスや情報が求められるようになってきました。しかしながら個人が求める細かな情報やサービスを提供しようとした場合、行政や企業では個々の利害関係や社会的立場、目的の違いなどから、提供する情報が偏りがち、または平均的になるという側面がありました。それらの問題を解決するためには、第三者的かつ中立的な立場で自由に事業が執行できる「新たな枠組み」が必要であると感じると同時に、NPO法人が、目的を達成させる手段において最適ではないかという結論に到りました。

一方、全国平均を大きく上回る高齢化と人口流出による過疎化が著しく進行している小豆島の現状において、2007年問題を端とするUIターンの誘致促進活動とその受け皿の整備は、島の未来基盤を左右する大きな課題の一つであり、同時に島の少子高齢化、過疎化対策としても有効な解決策だと考えます。 しかし、現在それらを繋ぐ情報ソースとしての地域メディアや活動団体が島内に無いことから、それらに対応する新しい枠組みや組織、及び必要な情報を提供する情報基盤の整備を新たに進める必要性があると感じました。

また、我が国における人口の大きなボリュームゾーンである団塊世代の定年退職は、企業を離れることで地域コミュニティーへの依存度が高くなるとともに、これまでにはない新たな雇用スタイル、地域コミュニティー、加えて暮らしに役立つフラットな情報源を必要とします。しかしそれら地域にとって役立つ情報の整備は、そこに暮らす人たちの手でつくる以外に方法はありません。更に一歩進んで考えた場合、地域に密着したローカル情報の発信は、インターネットを介したグローバルな視点において、都市には存在しない貴重な価値となりうる可能性もあります。

自分たちのまちは自分たちの手で創る。地域一丸となった取り組みが必要なのは言うまでもありませんが、黙って見ているのではなく、まずは自分にできることから一つ一つ始めてみたい。それが活動を開始するに至った経緯です。

2006年12月