カヌーとカヤック、カヌーとボートの違い

カヌーとカヤックの違い

カヌーの起源は樹木を削りだした 「丸木舟」(くり舟) のことを指すが、広義では小型の手漕ぎ舟を総称してカヌー "CANOE" と呼ぶ。分類的にはに上部が空いたオープンなものをカヌー。デッキがあるものをカヤックと区別している。加えて、カヤックはシートに座って左右のブレードで漕ぐ 「ダブルブレードパドル」 を使用するが、カヌーは片膝をい付いて片側を漕ぐ 「シングルブレードパドル」 を使用する。また、カヌーは樹木が育つ温帯地域で発展した舟であるのに対し、カヤックは樹木が育たない極北で進化した北方系の舟である。

カヌーとカヤック

カヌーとボートの違い

カヌーとボートとの違いは船底の形状にある。一般的にボートは直進安定性を高めるため、船底にキール(竜骨)と呼ばれる突起が張り出している。これがヨットの場合は更に大きなロングキールとなる。風を受けた時に横滑りを防ぎ復元力を高めるため。対してカヌーの場合、キールは前後にあるのみで中央部の底はサーフボードと同じラットボトム。これによりカヌーは横移動を可能とする。ボートやヨットは構造的に前後にしか移動しないが、カヌーは前後左右に自在に移動する。ここが他の船と違うカヌーの最大の特徴である。

また、ボートは波を切るように進むが、カヌーはサーフボードのように波の上を滑るように進む。つまり、カヌーは大きな波やうねりに対して、横滑りしながらサーフに乗ることができる。ここがスポーツとしてのカヌーの奥深い楽しさの秘密でもある。加えて底が平らなため普通の船では入ることのできない浅瀬や岩礁で囲まれた複雑な入り江の中へも入って行くことができる。

それと、大きなボートは自分でバランスを取ることはできないが、カヌーは自分でバランスをとるため初心者でも酔いづらいのも特徴。ボートは軸が下にあるが、カヤックは構造的におへそのあたりが軸になる。要するに揺れ方が違う。つまり、大きなバスで酔う人はいても自転車で酔わないのと同じ構造だ。

カヌーとカヤック

カヌーコラム

瀬戸内海の航海カヌー 「打瀬船」

打瀬船
瀬戸内の「打瀬船」 写真:内田正洋

日本のカヌーといえば琉球の「サバニ」が有名ですが、瀬戸内にもかつては独自の進化を遂げたカヌーがありました。その名は「打瀬船」。打瀬は明治時代から昭和初期にかけて活躍した漁撈船ですが、カヌーの代名詞である底が平らなフラットボトム。つまり、横移動出来るカヌーの仲間。それを特徴づけるものとして、打瀬船は網を横に引く。通常、網は船の後ろで引きますが、エンジンの無い時代は帆で風を受け、風下へ横滑りしながら船の横で網を引いていた。つまり、「風に打たせる」ので「うたせ」ですが、横移動するところが紛れもないカヌーの証しなのです。

また、フラットボトムを採用した理由として、潮流の激しい瀬戸内においては、あえて海面を滑らすことで潮流の影響を抑えることができたこと。加えて、瀬戸内は水深が浅い遠浅の海岸が多く、かつ干満の差が激しいため、どこへでも上陸できるフラットボトムの方が都合が良かったこと。以上のような要素から瀬戸内では古来よりフラットボトムのカヌーが定番だったのです。今では歴史の中に埋もれてしまった船ですが、今一度光を当てるべき歴史的価値のある船ではないのかと・・・。それにしてもかっこいい!